☆膝が痛い、腫れている
膝の痛みで来院される方の中で多い疾患は、ご高齢で、特に女性に多い変形性膝関節症という軟骨がすり減ってきてしまう病気です。
体重がかかると痛い、階段が辛い、O脚が進行していく、正座ができないなどの症状があります。
加齢だけではなく、ケガや肥満、遺伝など様々な要因が関わっていると言われています。
変形性膝関節症の検査
進行している場合はレントゲンで診断が可能ですが、初期の軟骨変化はMRIでないと発見できません。
これらの変形の有無を確認し、治療方針を決定していきます。
変形性膝関節症の治療
一般的には関節の滑りを良くするヒアルロン酸注射を定期的に行うことが多いですが、運動療法などのリハビリがとても有用です。 変形性膝関節症のガイドラインでもリハビリは強く推奨されています。
当院ではリハビリを治療の中心としながら、症状をみてヒアルロン酸注射や湿布の併用で痛みをコントロールしていきます。
残念ながら、リハビリを含めた種々の治療を行っても痛みがなかなか改善しない方も多いのが現状です。
そういった場合は人工関節手術をすることで疼痛改善が見込めます。
また、再生医療の一種としてPRPなどの治療法もご紹介できます。(当院では施行していませんので紹介となります)
☆膝のケガ
スポーツでひねって痛めたり、転倒したりと様々な要因で膝の怪我は起こります。
代表的なものは膝前十字靭帯損傷、半月板損傷、膝側副靭帯損傷があげられます。
前十字靭帯損傷
ACL損傷と言われ、膝の機能を保つ上で非常に重要な靭帯が損傷してしまうものです。つまさきが外に向いているときに膝が内に入り込むknee in, toe out(ニーイン、トゥーアウト)というストレスで発症する事が多いと言われています。
受傷直後は膝がパンパンに腫れて、歩行するのも困難になることが多く、半月板損傷なども併発することもあります。
急性期を過ぎても、
・膝が崩れるような不安感
・ステップ動作ができない
・軸足にできない
このような症状でスポーツ復帰がままならないことも少なくありません。
前十字靭帯損傷の検査・治療
レントゲンやエコーでは診断が難しいため、MRIでの精査が必要です。
装具やテーピング・リハビリで改善することもありますが、なかなかスポーツ復帰できなかったり、パフォーマンスが落ちたりする場合が非常に多く、手術を必要とするケースが多いです。
手術をした場合は、少なくとも半年以上のリハビリを経てからの復帰となるため、手術時期は慎重に決めていく必要があります。
当院で手術が必要と判断した場合は、関節鏡での再建手術が可能な病院への紹介をいたしますのでご相談ください。
半月板損傷
半月板とは、膝の骨と骨の間でスペーサーの役割をしている軟骨組織です。半月板があるおかげで膝の関節がスムーズに動きます。
この半月板が割れてしまったり、ちぎれてしまうのが半月板損傷です。また、変性といって、経年変化で徐々に亀裂が生じる場合もあります。
膝を深く曲げたときに痛い、ひっかかりを感じる、急に屈伸が困難になる(ロッキング)といった症状があります。
場合によっては水がたまってきたり、軟骨に傷をつけてしまうこともあります。
長期的に放置しておくと、変形性膝関節症を引き起こすこともあります。
半月板損傷の検査・治療
こちらもレントゲンやエコーでは診断が難しく、確定診断にはMRI検査が必要になります。
治療としては、リハビリやヒアルロン酸注射などを行います。
しかし、半月板は血流に乏しい組織であり、損傷が大きいと自然修復がうまくいかない場合が多いです。症状改善がみられず、手術が必要と判断した場合には、関節鏡での手術が可能な提携病院への紹介をいたします。
☆膝で音が鳴る
膝の曲げ伸ばしや、歩行時に音がなるという相談がよくあります。
深く曲げたときにポキッと言うが、痛みなどの症状がなければ基本的には問題無い場合が多いです。
しかし、激しい痛みを伴う症状が長続きする場合はご相談ください。
軟骨が関節に挟まり込む、いわゆる“関節ネズミ”という症状かもしれません。
この軟骨が関節内で動き、軟骨を傷つけている可能性があります。
一度、傷ついてしまった軟骨が自然に再生する可能性は極めて低いため、早期の治療が望ましいです。
レントゲンでははっきりうつらないことも多く、MRIやCTでの検査を推奨します。
関節ネズミが自然消失することは極めて稀です。頻繁に痛みを生じる場合は手術が必要になります。
関節鏡手術が可能な関連病院への紹介をいたしますのでご相談ください。
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