肩関節の靱帯や腱などに炎症が起こり、日常動作や夜間に痛みを生じる状態を『四十肩、五十肩』『肩関節周囲炎』と呼びます。
症状が長期間に及ぶと肩が上がらなくなり、『凍結肩』と呼ばれます。

SMP(サイレントマニピュレーション)とは?

なかなか良くならない肩の症状に

サイレント・マニピュレーションは、超音波ガイド下に肩周囲の感覚を支配する神経に麻酔をかけ、痛みを感じない状態で硬くなっている関節包や靱帯を徒手的に剥離することにより、肩関節の動きを回復させます。

どんな場合にSMPをやるの??

リハビリや注射を繰り返しても、肩の動きがなかなか改善しない場合に行います。術後はリハビリが必要ですが、より早期に肩関節の動き、痛みの改善が期待できる優れた治療法です。

どんな合併症があるの??

サイレントマニピュレーションの合併症は大きく分けて3つあります。①ブロック麻酔に伴うもの、②施術中に起こるもの、③術後に起こるものと分けて解説します。

①ブロック麻酔に伴うもの
交感神経に作用してしまうホルネル症候群(まぶたが垂れ下がる、縮瞳、発汗異常)、横隔神経麻痺(深呼吸がしづらくなりますが、呼吸困難にはなりません)などがあげられます。どちらも麻酔効果消失により、せいぜい数時間で改善します。また、神経損傷によるしびれなども起こりえますがエコーで神経や血管の位置を確認しながら行いますので大きな損傷が起こる可能性は低いです。

②施術中に起こるもの
骨折や、脱臼が起きたという報告があります。骨折予防のため、骨粗鬆症の可能性がある方は事前に検査が必要です。これらは施術を慎重に行うことで大部分予防できると考えております。

③術後に起こるもの
疼痛の出現、再拘縮があげられます。人工的に関節包などの組織をはがすため、まれに痛みが残存することがあります。また、一旦改善した可動域が悪化してしまうことがあり、抗炎症剤の使用やリハビリを集中的に行うことで再拘縮の予防を行っております。

どれぐらい費用がかかる??

サイレントマニピュレーションは保険適用内で行えます。当日の診療費は3割負担で5000〜6000円程度になります。また、術前後のリハビリに関しても、保険の範囲内で行なえますのでご安心ください。

 

SMPの流れ

1.診断

MRI写真レントゲン、超音波検査、MRIなどを行い、腱板断裂や変形性関節症などの大きな異常がないか調べます。こういった異常があると、SMPを施行しても改善しない可能性が高いからです。

 

2.保存治療

ストレッチポールでリハビリ通常のリハビリや注射などの治療を続けても、満足な改善が得られない場合に、サイレントマニュピレーションを検討します。目安としては3ヶ月間の治療で肩の動きが改善してこない場合にはSMPを勧める場合が多いです。

※施術の際に骨折リスクがあるため、高齢の方や女性で骨粗鬆症が疑われる場合は骨密度検査をいたします。

3.検査当日の流れ

①超音波ガイドを用いながら、頸部にブロック麻酔をします。

ブロック麻酔イメージ
②肩の感覚がなくなった事を確認してから、施術します。

施術イメージ

③可動域の改善を確認し、関節内にステロイド+局所麻酔を注入します。(再癒着防止、術後疼痛防止のため)

④三角巾をして帰宅してもらいます。

三角巾装着後

 

☆再拘縮を防ぐために、施行後1ヶ月はリハビリが特に重要なので、週に2回から3回の通院をおすすめします。1ヶ月経過したあとは、週に1回以上のリハビリ通院を推奨しています。
そのため、忙しくてリハビリに中々通えない時期には、SMPを推奨しません。

☆サイレントマニピュレーション施術後、順調に経過した場合、およそ3ヶ月で通院終了となります。

 

※術後、数時間は麻酔の効果で動かない状態が続きます。自転車、車の運転は翌日までできません。

※骨粗鬆症の方は施行できません。骨粗鬆症が疑われる場合は当院で骨密度検査を施行いたします。